【世事関心】ファーウェイの世界制覇計画は実現するのか

米国が国家安全保障上のリスクを警告しているにもかかわらず、ファーウェイの5G製品は現在、世界の約68カ国で採用されています。これは一体、何を意味しているのでしょうか。

米通信会社リバダ・ネットワークCEOのデクラン・ガンリー氏
「北京政府が現在の普及戦略を成功させたら、10年後はすべての人間に未来はありません」

米国の同盟国の安全保障部門は、ファーウェイに対して基本的に米国寄りの立場を維持しています。にもかかわらず、なぜ彼らは中国からの攻勢を食い止めることができないのでしょうか。

デクラン・ガンリー氏
「受け取るべき警告を政府が受け取っていないのではありません。米国の発する警告に逆らっているのは、各国の通信会社のロビー団体なのです」

中国政府がファーウェイに潤沢な補助金を提供しているため、西側諸国の通信事業者はファーウェイから安価な設備を導入することができます。

デクラン・ガンリー氏
「自社のビジネスモデルの見直しを考える大企業は非常に少ない。だから彼らは倒産するまで、同じやり方で経営するのです」

中国は今、壮大なゲームを操って、次世代携帯電話無線通信網、5G分野の世界制覇を果たそうとしています。安全保障上のリスクを掲げても中国のまい進を阻止できないのであれば、他に打つ手はあるのでしょうか。

司会者 シモーネ・ガオ
ズーミング・イン(世事関心)へようこそ。キャスターのシモーネです。2カ月前にこの番組で、ファーウェイと世界の5G応用について報じました。当時、ファーウェイは世界のネットワーク分野の大部分を引き継ぐ準備ができていました。番組ではそれが現実になった場合の国家安全保障問題について深く追究しました。国家安全保障分野に生じるリスクに対する人々の理解を深めようと、米国が今、手段を講じているのがわかります。

あれから2カ月、今日はこのテーマの別の側面について考えてゆきます。番組では米国が、ファーウェイが世界にもたらすリスクを世界へ広めようと模索しているにもかかわらず、ファーウェイの足取りが鈍っていない点を注視しています。実際のところ、ファーウェイと中国共産党は今、大きな局面に差し掛かっており、彼らは西側の縁故資本主義に迎合する狡猾な戦略を立てています。自由世界はこの戦争に勝利できるのでしょうか。

多くの人にとって、2019年2月末にバルセロナで開催された世界最大級の通信関連見本市は悪夢と化しました。見本市が「ファーウェイ祭り」になってしまったためです。世界の5Gネットワーク構築分野において、中国の通信機器大手、ファーウェイが覇権を握る可能性があります。

デクラン・ガンリー氏
「ズーミング・インの報道によると、ファーウェイは68カ国と5G応用分野での契約にサインしました。現時点でテスト段階にある国、ファーウェイの設備の使用を計画している国、そしてすでに了解覚書を締結した国も合わせると80カ国になります。2月上旬にズーミング・インがファーウェイについて報道したころ、ファーウェイの設備の採用を決定していた国はまだ61カ国でした」

興味深いのは、ファーウェイが顧客に対し取引を公にしないよう求めているため、表向きのファーウェイの業績は実際よりも低くなっている点です。一部の顧客も政治的な圧力をかけられないよう、ファーウェイに対し同様の求めを出しています。

ファーウェイを揺るがす事件が立て続けに起こったため、事業の成功は同社にとってとりわけ重要になっています。まず、2018年12月1日に同社の孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)が、米国の対イラン制裁に違反した疑いで、カナダで逮捕され、その2か月後にはファーウェイ自体も知的財産権窃盗、銀行詐欺、司法妨害の疑いで起訴されました。さらに米国は同盟国に対し、ファーウェイの5G設備を導入した国とは情報を共有しないと警告しました。

米国からの警告に対し欧州委員会は、EU加盟国に対しEUレベルでのファーウェイ禁止は行わず、加盟国自身の判断に任せると回答しましたが、その一方で委員会は加盟国に対し、5G関連の国際安全保障問題に対処する際に、より多くのデータを共有するよう促しています。

3月19日、デンマーク通信最大手のTDCは、スウェーデンの通信機器メーカー、エリクソンと共同で5Gインフラ整備を進めると発表しました。しかし、ドイツは米国によるファーウェイ禁止を拒否し、英国もドイツとほぼ同じ立場を表明しています。

司会者 シモーネ・ガオ
米国は2月の通信関連見本市に代表を送り、同じ場所で「ファーウェイ祭り」が行われている最中に、ファーウェイに対する安全保障上のリスクについて新たな警告を発しました。一般の人は、ファーウェイが米国代表を屈服させたと考えるでしょう。このこと自体は驚くに値しません。中国はこの分野に長年力を注いできましたが、米国がそれに気づいたのはごく最近だからです。ファーウェイはさらに周到に準備していました。なぜならファーウェイは、自身が壮大な計画を実行していることを自覚しているからです。その計画とは次世代の、そしてさらに将来のネットワーク世界を主導するというものです。

過去10年で、中国の外国への直接投資範囲は顕著に拡大し、その一方で米国の対外投資範囲は縮小しています。国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会は2018年の報告書の中で、2005年から2016年の間に中国が同地域に投資した総額は約900億ドル(約10兆701億円)で、通信分野への投資が顕著になっていると記しています。

2011年からファーウェイは世界で国家ブロードバンドネットワークを推進することを、一国の新たな経済生態システムを構築する上での革新的理念に掲げています。

この理念は2015年に、メキシコで成功裏に実施されました。ファーウェイとノキアは、約70億ドル(約7832億円)の投資によって新たなブロードバンドネットワークを構築するために採用され、2018年3月にはこのネットワークの一部の運用が始まりました。

5Gについてのファーウェイの口説き文句は「ファーウェイの技術と設備を使用すれば、これらの国は低コストで5G時代に直接入ることができる。なぜならファーウェイは最も低コストで、技術面でも最先端を走るサプライヤーだからだ」という簡潔明瞭なものです。

ファーウェイの説明は間違ってはいませんが、物事には裏と表があるように、ファーウェイの製品を購入することは、これらの国が中国の設備、技術、資本、市場に依存するようになることをも意味しています。これらの国は今後、中国経済と深くかかわるようになり、ネットワークインフラは悪名高い独裁政権の代理人が設計、構築、メンテナンスすることになります。この独裁政権は、技術の窃盗と民衆の支配に非常に長けています。

この問題点が広く受け入れられていないのは明らかです。ファーウェイと提携した68カ国の多くは、この点に無頓着に見えます。

先進国に対しては、ファーウェイはデクラン・ガンリー氏の言う「トロイの木馬」戦略を採用しています。ガンリー氏は米国の通信会社、リバダ・ネットワークのCEOを務めています。

デクラン・ガンリー氏
「北京政府はこれらの携帯端末の小売りサービス業者をトロイの木馬として使用しているという事実は以前にも話したことがあります。

つまり中国語で言う「刺客」を使っているということです。競争の中で対照的でない利点を使用し、さらに相手をコントロールするために相手の力を利用するのです。

これらの業者のロビー集団は各国で、北京から非常に大きなサポートを得てロビー活動を行っています。彼らがなぜそうするのかというと、中国政府が破格の条件を提示しているからです。彼らの5Gネットワークの拡大に補助金を提供し、彼らのコストを大幅に削減させることに等しいのです。これによって、彼らが自身を中毒にする小売りモデルを継続するのをサポートしています。これが西側諸国の通信業界が独占された状態での、中国の補助金依存問題なのです」

続いては、「通信会社と安全保障機関との攻防」について見てみましょう。

通信会社と安全保障機関の攻防

ネットワーク分野は経済だけでなく、安全保障分野にも密接にかかわっています。有事の際には陸、海、空、宇宙そしてネットワークの5つの戦略分野が重要となりますが、ガンリー氏は、次に起きる大戦争の最初の10分間は、ネットワーク分野で行われると語っています。ネットワーク分野こそが未来の真珠湾攻撃の発生地であり、5G構築の覇権を握るのが誰であっても、戦略面と安全保障面において圧倒的優位に立つことができるのです。

豪州とニュージーランドが5Gにファーウェイの技術を使う計画を却下した後、豪州から中国に向けた石炭と鉄鉱石を積んだ船に、税関での通関手続きで深刻な遅延が生じていることが分かりました。また、麻薬密輸罪に問われていたカナダ人ビジネスマンの差し戻し審が行われ、孟晩舟容疑者がカナダで逮捕されてまもなく、死刑判決が下されました。

デクラン・ガンリー氏
「北京政府からの強い圧力が、豪州とニュージーランド政府に向けられています。この2国は太平洋に位置し、5G設備を普及させたい中国政府にとって非常に重要な国です。

英国は豪州とニュージーランドとの長年の兄弟関係を解消しようとしており、(アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの5カ国の間では互いに諜報活動を行わないという取り決めを結んでいる)「ファイブアイズ」の内部で、この同盟関係を壊しました。この点は非常に興味深いです。特に、英国がEUを離脱したら、英国は豪州とニュージーランドとの関係を改善、強化しなければならないと考えるはずです。しかし主な英語圏の国の中で、この関係が壊れてしまいました。これは英語圏諸国の安全保障を危険にさらすものであり、私には気がふれた、近視眼的な行為に思えます」

司会者 シモーネ・ガオ
「米国議会についてはどうでしょう。米国議会の複数の議員が、『ファーウェイの設備を使用すると、それらの国の国家安全保障上の脅威となる恐れがある』と非常に強いシグナルを発していると伺いました。このシグナルは、なぜ役に立たなかったのでしょうか」

デクラン・ガンリー氏
「やはり役に立ったとは思っています。ある意味で、この効果は徐々に現れるでしょう。この問題に対し多少の抵抗は受けましたが、これは政府が受けるべき警告を受け取らなかったのではありません。米国からの警告に耳を傾けないのは、各国の通信会社のロビー集団なのです。英国とドイツの論争を見ればわかるでしょう。ドイツはまさに「フィナンシャル・タイムズ」と「ウォールストリートジャーナル」で報じられたこうした事例の典型的な例なのです。ドイツの安全保障機関と外交機関はすでにこの問題を認識しており、警告を発しています。

一方、反対勢力の出どころは事業者で、事業者が行ったことはまず自分の仲間を説得することです。

ドイツでは、ビジネスと政府が相互につながっています。事業者がビジネス仲間のところに出向いて、国の安全保障部門の人間が許さなくても、中国の設備を導入するよう説得するのですが、狂気の沙汰です。

事業者は「刺客」を使って、大手産業のロビー団体に対し、国の安全保障部門の考えをひっくり返すよう説得します。このやり方はドイツ、チェコ、スペイン、英国、フランスなど、非常に多くの国で別のバージョンが存在します」

ファーウェイへの対抗策

ガンリー氏の言う小売りモデルとは、ネットワークプロバイダー大手は周波数帯を使用するために、最初に政府に巨額の電波使用料を支払うため、中小企業がこの市場に参入することが不可能になり、大手企業はその後、ユーザーに対し高額な使用料を請求することを指しています。

また企業は5G設備とネットワークの構築コストをできるだけ抑えたいと考えており、安価な設備は中国大陸からしか供給できないため、企業は中国企業が自国の市場に参入できるよう政府に対するロビー活動を行うのです。

この状況を変えるためにガンリー氏が考えたのは、卸売りモデルで周波数帯を販売してアップルやアマゾン、ウォルマート、ウーバー、さらに農村市場へのサービスを行う小規模な企業が、適切な価格で周波数帯を購入できるようにすることです。このモデルの長所は、各企業が設備やネットワーク構築にかけるコストを削減でき、ファーウェイが中国政府から受ける補助金によって確立した優位性と相殺できる点です。

デクラン・ガンリー氏
「多くの国がスペクトルの割り当てを許可するようになり、5Gネットワークの電波スペクトルが、国防用の無線スペクトルを使って民間部門によって構築、運営されるようになるだろうと私は考えています。よって、どの国の国防省がこの分野での優先権購入を持っていたとしても、彼らは2番目の優先参入権に基づいて利益を分かち合うことができます。

政府が入札を開始し、事業者の中立性と安全性を保証するだけで、どの国もその意向を示し、適切な周波数スペクトルブロックを確定しさえすれば、民間企業の入札意欲が高まると思います。

企業は金融機関からの資金援助を受けることができ、こうした奨励が与えられることによって、5Gネットワークは中国の5G技術なしでも整備が可能になります。

そのようにする国が十分に増えたら、多くの国が大規模な5Gネットワークの卸売り販売を行うようになり、その国の経済に貢献できるようになります。彼らが熾烈な競争を招き、生産能力の平均価格を抑えるようになります。そうすることで我々は本当のインターネットを手にすることができるのです。

またイノベーションの急増も目の当たりにするでしょう。我々は5Gネットワークによって、少なくとも国の年間GDPが0.75%増加し、それによって人々に実感できる利益がもたらされると予想しています。さらに米国に何百万の雇用を生み出すでしょう。新たな雇用は300万と予想しています。

英国やドイツといった他の国でも大きな雇用を生み出すだろうし、そうすることで西側諸国が、重要な技術と安全保障分野における支配権を確保できるようになります。

ネットワークサービスプロバイダーは、最大の受益者の一つになります。現在、彼らが周波数帯から得ている利益はさほど多くなく、自身の周波数帯を十分に使えていません。彼らがこの方法を使って自身の周波数帯を使用できるなら、株主により多くの配当金を提供できるはずです。これはにわかには信じられないような発展動向ですが、政府がカルテルの圧力に屈しなければ、我々は現状を打破し、企業の株主により多くの恩恵をもたらすことができるのです。そして国は今後何年も、安全なネットワーク環境を手に入れることができます」

司会者 シモーネ・ガオ
「彼らが本当にそこから利益を上げられるのであれば、なぜ実行に移さないのでしょうか」

デクラン・ガンリー氏
「彼らには彼らの思惑があるからです。彼らは上場企業で、四半期ごとに財務報告を提供し、金融市場は短期的な収益の追求に走っています。これらの企業の幹部の報酬は主に株式と先物オプションであり、彼らの賞与は四半期ごと、又は1年間の利益に直結しています。だからこうした企業は四半期や1年といった短期的な利益しか重視しません。

将来的な計画を立てたところで、企業幹部には何の恩恵もないのです。彼らが10年も働くことはないし、そういう人間はごく少数です。

私は創業者で、複数の会社を抱えています。先駆者としてのビジョンを持っているネットワークサービスプロバイダーはごく少数で、企業の幹部は専門経営者のクラスに属しています。彼らを批判しているわけではありませんが、彼らは短期的な利益の追求のためだけに働いています。

よって大規模ネットワークサービスプロバイダーのビジネスモデルを変更し、ネットワークインフラを無線周波数帯と顧客販売から切り離し、無線通信インフラを卸売りの無線周波数帯プラットフォームに変更して独立した顧客販売システムを構築する必要があるのです。

この改革によって利益が見込めるようになるまでには2年を要し、その間に収益は減少しますが、その後は以前の水準を上回ることになります。しかし、企業幹部はこの2年の移行期間をとうてい受け入れられないだろうし、業績の短期的な悪化が、多くのCEOやCFOのキャリアに終止符を打つ可能性もあります。だから彼らは変化を望まないし、顧客や金融業界に対し経営モデルを変更する承諾を取り付けるつもりもありません。自身の従来の経営モデルを変える勇気のある大企業がどれほど存在するのでしょうか。

アップルのスティーブン・ジョブスの画期的な理念は実はゼロックスから生まれたものです。ゼロックスだって本来は自分でできたはずですが、彼らはしませんでした。自社の経営モデルを変革しようという既得権益者はいなかったのです。市場の状況が大きく逆転しない限り、自身のビジネスモデルをダメにしたくないという理由で、黒字への道をまい進するしかないのです。そのため、最終的に一つのビジネスモデルのライフサイクルが終焉を迎える時、そのビジネスモデルが何十年もうまく行っていたため、彼らは自身を改革することによって成功を収めるのではなく、最終的に規制に頼り、競争を阻むことになるのです」

司会者 シモーネ・ガオ
ガンリー氏の方法で5Gネットワーク構築問題が本当に解決できるというと、にわかに信じられないような気がします。利益に目がくらんだ大企業はここ数年、米国の対中国政策の主導権を握ってきたため、米国国民に不利益をもたらしました。私はこれまで多くの著名な専門家に、どうすればこの状況の再来を防ぐことができるのかと尋ねましたが、誰も答えられませんでした。「ズーミング・イン」は今後もこのテーマを掘り下げ、より詳しい情報をお伝えします。

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