中国で進むホワイトカラーのリストラ 不動産バブルが早まる恐れ

中国経済の減速により大量の出稼ぎ農民が職を失って帰郷を余儀なくされる中、リストラの波がホワイトカラーにも押し寄せています。ある研究者は、ホワイトカラーの失業による消費危機が、不動産バブルの崩壊を早める可能性があると指摘しています。

ニューヨークタイムズは、中国経済の減速により工場や建設現場に生じた作業停止の波がオフィス労働業界にも押し寄せ、学歴のあるホワイトカラーもリストラと賃金カットの打撃を受けていると報じました。直販EC大手の京東商城(JD.com)やライドシェアの滴滴出行(ディディチューシン)といった業界大手も例外ではありません。

報道によると、前途洋々とみられたインターネット技術業界でも現在、人員削減が進められています。滴滴出行(ディディチューシン)では15%に相当する2000人がリストラされました。チャットアプリ聊天寳の北京快如科技有限公司では85%、オンライン語学教育プラットフォームの沪江では約50%に匹敵する1000人がリストラされました。

中国の経済紙「新浪財経」が報じたところによると、中国の人員削減の波は昨年8月から沸き起こり、映画やドラマを制作する映像業界では20~30%、ゲーム業界では70%もの人員が削減されました。いわゆるスター企業やユニコーン企業でも経営が悪化し、会社のスリム化を目指してコスト削減が進められています。中国の電気機器メーカー、魅族科技(メイズー)はすでに2000人以上をリストラし、北京の新興スマートフォンメーカー北京錘子科技公司(Smartisan、スマーティザン)も60%の人員削減を行いました。

北京師範大学のMBA指導教官 段紹訳さん
「ホワイトカラーの失業による影響は、まず彼らの購買力低下によって、消費活動が継続的に低下してしまうことだ。2つ目は政治的な危険が生じることで、中国の中産階級はたいてい住宅ローンを抱えているため、銀行ローンの支払い能力に影響が及ぶ可能性がある。彼らが追い詰められて不動産を売却してしまったら、不動産バブルの崩壊が早まることになる」

ニューヨークタイムズは、ホワイトカラーの就業困難は中国経済の減速幅が政府の公式データよりも大きいことを示しており、ホワイトカラーの消費低迷によって、政府は衰退の中からの経済の立て直しがさらに行いにくくなるだろうと指摘しています。

中国当局の発表した失業率はずっと4%を維持しています。一方、今年の人民代表大会閉幕式で、李克強総理は失業問題を取り上げ、就業者ゼロの家庭が出ないようにする必要があると提起しました。中国の失業率が4%にとどまらないのは、明らかです。

中国の金融専門家で、企業オブザーバーを務める何軍樵(か・ぐんしょう)さんは、中国には独立した民間研究機関も独立メディアもないため、本当の失業率は誰にも分からないと指摘しています。しかし中国当局が何度も安定雇用を強調していることから、失業率の深刻さがうかがえます。

中国の金融専門家 何軍樵さん
「安定雇用とは安定を維持することだ。共産党の政治権力はすべてを凌駕する。だから2015年から現在までずっと雇用を安定させている。前回の両会でも、前々回の両会でも、さらに中央の経済政策でも常に雇用の安定を強調している」

何さんは、農民工こそが実際には中国の最大の失業者群だと言います。

中国国営メディアは、中国には億に上る農民工が存在し、2017年に河南省でUターン起業を行った農民工は89万9300人に上ると報じています。

中国の金融専門家 何軍樵さん
「農村で就業などできるはずがない。農村での就業とは基本的には農業だ。中国の農村は中世の農村と何も変わらない。数十年前の農村とも何の違いもない。いくつかのモデルプロジェクトはあるが、数が少ない」

何さんは、中国の雇用問題とは結局のところ農民工問題であり、農民工が定職につけなければ国は安定しないと考えています。

中国の金融専門家 何軍樵さん
「だからここ数年強化されているインフラ整備は、実は農民工問題を解決するためのものだ。億に上る農民工は巨大なエネルギーだ。農村の土地では彼らの生活を維持することはできない」

何さんは、中国当局が最近になって計画経済時代の農村購買販売協同組合、供銷合作社を復活させたのは、失業した農民の安定を維持するためだと考えています。

中国の金融専門家 何軍樵さん
「供銷合作社の運営は簡単ではない。多くの人員が必要になる。以前の幹部を呼び戻さなければならない。彼らは勝手を知っているからだ。また国庫の金を使って彼らを養わねばならなくなる。人員を簡素化する一方で購買販売協同組合を立ち上げる目的は何なのか。これもやはり安定を維持するためだと考えている」

北京師範大学のMBA指導教官、段紹訳(だん・しょうやく)さんは、ホワイトカラーは結局のところある程度の資産を持っているが、普通の庶民にとって、失業とは生存に直結する問題だと指摘しています。

何さんは、何億もの農民工が生存問題を解決できなければ、彼らが中国当局にとって潜在的な脅威になるのは間違いないと考えています。