氷床融解進むグリーンランド、砂輸出で経済活性化も=研究論文

[オスロ 11日 ロイター] – 地球温暖化で広大な氷床が融けて大量の土砂が海中に流出しているグリーンランドについて、建設業界で広く使用されている砂や砂利を採掘し輸出することで経済活性化につなげられる可能性があるとの研究論文が、科学誌ネイチャーに掲載された。実現すれば、気候変動の産物としては異例の「恩恵」になる。

グリーンランドはデンマーク領で、自治権が拡大されてきたが、経済はデンマーク政府の補助金に大きく依存している。

デンマークと米国の科学者チームによる論文は、グリーンランドは「砂を採掘することにより、気候変動に伴う難題から恩恵を受けられる可能性がある」と指摘。一方で、沿岸部の採掘については特に漁業へのリスクを評価する必要があるとした。

グリーンランドの氷床は地球の気温上昇でとけ続けており、すべてとけると世界全体で海面が約7メートル上昇するとされる。また、氷床の融解により、フィヨルドへの土砂の流出も続いている。

2017年における世界の砂需要は約95億5000万トンで、市場価値は995億ドル。2100年には、需要増に加えて供給不足が予想されることから、価値は約4810億ドル近くに達するとみられている。

グリーンランドは欧米の市場から遠距離に位置することが難点との指摘がある一方、同論文の筆頭著者である米コロラド大学極地・高山研究所のメッテ・ベンディクセン氏は、砂はすでに、バンクーバーからロサンゼルスへ、あるいはオーストラリアからドバイへなど長距離を輸送されていると説明した。

研究では、将来的に、グリーンランドの氷床融解を含む現象に伴う海面上昇でリスクにさらされる砂浜や海岸線の補強に砂や砂利が使用される可能性も指摘された。 

 
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