トランプ米政権、対中関税第3弾を24日発動 税率は当初10%

[ワシントン 17日 ロイター] – トランプ米大統領は17日、2000億ドル相当の中国製品に対して10%の関税を課すと発表した。米アップルやフィットビットの腕時計型端末、自転車用ヘルメットなど、一部の消費者向け製品は適用除外となる。

中国が報復措置を講じる場合、即座に2670億ドルの中国製品に関税を課すことを検討する。

9月24日付で発動し、税率は年末には25%に引き上げられる。この間に米企業はサプライチェーンの調整などを進めることができる、と政府高官は説明した。

米政権はこれまで、先端技術の移転強要やハイテク業界の補助金制度などを中国が改めない姿勢を問題視し、既に2回にわたり500億ドル相当の中国製品に追加関税を課している。

米中政府の通商協議はこれまでのところ成果を生んでいない。ムニューシン財務長官は前週、中国側に協議再開を提案したが、具体的な日程は組まれていない。

トランプ大統領は声明で「見直しが必要な点を米国は非常に明確にしており、米国をより公平に扱う機会を中国に度々与えている」と主張し、「それにもかかわらず中国はこれまで、慣行を変える意向を示していない」と批判した。

中国証券監督管理委員会(証監会)の方星海・副主席は18日、両国が貿易に関する交渉の席に着くことを望むと述べた一方、米国の新たな関税措置が交渉に向けた雰囲気を悪化させたとの見方を示した。

その上で「トランプ大統領は手ごわいビジネスマンであり、交渉でわれわれから譲歩が得られるよう、中国に圧力をかけようとしている。この種の戦術は中国には効果がないだろう」と語った。

また、中国の鍾山商務相は17日に外国企業代表者と面会した際、米国の一国主義と保護主義は、米中双方の利益に影響を及ぼし、世界経済に打撃となるとの考えを示した。また、貿易戦争で勝者はいないとし、協力が唯一の正しい選択肢だとの見方を示した。

ブルームバーグによると、中国の劉鶴副首相は18日朝に北京で会議を開き、政府の対応を協議する見通しだ。

トランプ政権高官は記者団に対し、米国は中国との協議を再開する用意があると述べたが、具体的な日程には言及しなかった。

その上で「これは中国を制限する取り組みではなく、中国と協力し、不公平な貿易慣行の見直しを求める取り組みだ」と強調。こうした貿易慣行は米国や他の国が指摘しており、貿易システム全体に害をもたらしていると指摘した。

<消費者向けテクノロジー製品は除外>

米通商代表部(USTR)は関税対象リストから297品目を除外したが、米政権当局者は、対象品の総額は依然として「約2000億ドル」になると明らかにした。

アップルは今月初めに提出したパブリックコメント(意見公募)で、腕時計型端末「Apple Watch(アップルウオッチ)」や、ヘッドフォンの「AirPods(エアポッズ)」など、「幅広い」製品が、対中追加関税の影響を被る公算が大きいとの認識を示していた。ただ、影響を受ける「幅広い」製品のリストに「iPhone(アイフォーン)」は含まれていなかった。

6000以上の意見が寄せられたパブリックコメントを踏まえ、スマートウォッチや無線通信技術ブルートゥースを使う端末、一部の消費者向けのテクノロジー製品は今回適用除外となった。

また、ビスタ・アウトドアが販売する自転車用ヘルメットやベビーカーの椅子など、消費者の安全を確保するための製品が一部関税適用除外となった。

米製造業や繊維、農業部門で使用される米国産化学品の中国産原料も対象外となった。

ただ、トランプ政権が2670億ドルの中国製品にも関税を発動すれば、残るすべての品目が対象となり、アイフォーンなども適用除外となる可能性は低い。

この日発表された関税措置について、ハイテク業界や小売業界からは、消費者への打撃になると批判の声が上がっている。

小売業界団体の小売業リーダー協会(RILA)は「追加関税は米国の世帯への税金だ」と指摘した。

在上海の米商工会議所の代表、ケネス・ジャレット氏は、会員企業の4分の3が追加関税の打撃を受ける見込みだが、それら企業が米国に雇用を戻すことはないと指摘。

「大半の会員企業は、米国ではなく中国の企業や消費者に商品を販売している。それが最終的に米国経済を支援している」と述べた。

米共和党議員は、中国の知的財産権侵害や貿易慣行に対するトランプ大統領の強硬な姿勢を評価する一方、摩擦の解消に向けて中国との対話を模索するよう促した。

下院歳入委員会のケビン・ブレイディ委員長は「習近平国家主席とトランプ大統領が貿易の新たな道筋で合意する時期が早ければ早いほど良い」と述べた。

 
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