先進国並みに出生率低迷の中国 政府は対策模索中か

30数年間「一人っ子政策」を実施した中国はいま、出生率低迷の難題に直面している。政府は出産を促す対策を模索しているようだ。

未来の中国の人口は垂直型に減少するため、出生率を改善させることが政府の急務といった見方が増えている。国営メディアは「子どもを産むのは、個人のことだけではなく、国家の一大事である」などと宣伝し、さまざまな対策をほのめかしている。

一つは「生育基金」制度。出産適齢期の40歳までの男女を対象に、年収の一定の割合を同基金に納付することを義務付けるという制度だ。2人目以上出産の家庭は、基金から補助金が支給される。それ以外は、定年後に基金の還付金を受け取ることになる。

政権の御用識者からは、生涯子どもを産まない家庭に「社会扶養税」を徴収するという論調も上がっている。

中国政法大学教授の胡継曄氏は16日、メディアに対して、中国の目下の出生率はアメリカなどの先進国よりも低いため、政府は出産を促すべきだと発言し、「粉ミルクの無償配給」や出産しない家庭への「社会扶養税」の徴収など具体策を語っている。

一方、こうした政府側からのメッセージに対して、インターネットでは批判の書き込みが殺到している。

「どこまで勝手な共産党だ。腐ったアイディアばかり。以前は強制中絶、強制避妊、いまは強制出産。人類、特に女性の敵で悪の代表だ」

「二転三転の政策はいずれも党の利益のため。その悪さは言葉で形容できない 。(中略)ここまで国と国民に危害を及ぼしたのは、歴史上に前例がない」

一部の統計では、30数年間続いた「一人っ子政策」のもとで、強制中絶された胎児はおよそ4億人に上る。

1990年代から、中国の出生人口は減少の傾向にある。2003年に入ってから、これまでの年間平均2,000万人台から1,600万人台に低下し、回復の兆しがみられない。

こうしたなか、2016年中国政府は「二人っ子政策」に方向転換した。実施してから2年間、出生率はすこし持ち直したものの、依然として極めて低い水準だ。中国国家統計局が発表したデータによると、2017年の出生人口は前年比63万人減の1,723万人、1千人あたりの出生数は12.43人であった。

この数値は米国の12.5 (15年)、英国の12.0(15年)と同水準にある(日本は7.5人 [17年]で最下位だった)。中国人口問題の専門家は2012年当時、逆ピラミッドの中国人口構造に懸念を示していた。

 
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