米グーグル、中国の検閲対応検索エンジンに従業員が抗議

[サンフランシスコ 16日 ロイター] – 米大手情報技術(IT)企業アルファベット<GOOGL.O>傘下のグーグルが検討している中国の検閲に対応した検索エンジンについて、多数の同社従業員が内部文書で「透明性と監視、説明責任」を強化する必要があると抗議したことが明らかになった。ロイターが16日、内部文書を閲覧した。

米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、グーグルのピチャイ最高経営責任者(CEO)は16日に開いた全社会議で、中国での検索エンジン立ち上げはまだ先になるとの見方を示した。

同氏は、検索エンジンの開発は初期段階にあるものの、世界最大の人口を持つ国でサービスを拡充することはグーグルの使命に合致していると述べたという。

ロイターは今月、関係筋の話として、グーグルが中国市場に再参入するため、同国の検閲に対応して一部のウェブサイトへのアクセスや検索語句を制限した検索サービスの開発を秘密裏に計画していると報じた。

計画が明らかになったことを受け、グーグルの一部従業員や人権擁護団体は反発。中国当局の検閲に対応すれば、グーグルは表現の自由を禁じる中国の方針を認めるとともに、「道義に反してはならない」とする社内規定に違反することになると懸念している。

グーグルは今年、人工知能(AI)の技術を使って軍事用にドローンを開発するプロジェクトについて、社内の抗議活動を受け、国防総省との契約を更新しないと発表した。

今回の社内文書で従業員は、「ドラゴンフライ」と称する検閲対応検索エンジンの計画により、軍事用ドローンの問題でグーグルが打ち出した倫理規定が「十分ではない」ことが「鮮明になった」と主張している。

社内文書は「グーグルの従業員は会社が何を構築しているかを知る必要があるため、われわれには透明性の向上に加え、意思決定の会議への参加、明確で開かれたプロセスへの確約が即刻必要だ」と強調した。

同社の幹部はドラゴンフライについて公式にはコメントしていない。

従業員は会社に対し(1)一般職員を含めた倫理検証委員会の設置(2)独立した検証を確保するためのオンブズマンの起用(3)重大な倫理上の問題が生じたプロジェクトに対する検証結果の内部公表──を要求している。

 
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