中国の元大学教授、連行されて音信不通 反体制論調が災いか

中国山東省で1日、米メディアの電話取材を受けていた最中に公安当局に山東大学の元教授、孫文広氏(84)と妻が強制連行され、いまも音信不通のままとなっている。同大学の卒業生や孫氏の教え子150人あまりが当局宛ての公開嘆願書で、孫氏らに関する情報の公開、身柄の釈放を求めた。

同氏は中国では名の知れ渡った「反体制派」である。

1960年代から80年代、毛沢東の思想を批判したことより、労働教養所や刑務所に度々収容された。

1989年の学生民主運動「六四天安門事件」以降、事件への公正な評価、被害者の名誉回復を求めつづけており、長年、政府の監視と迫害を受けてきた。

2009年、75歳のとき、天安門事件で学生に同情的な見方を示して失脚した故趙紫陽・元総書記の追悼活動に参加した際に、正体不明の者に暴行され、肋骨3本を折る重傷を負った。

今年3月、中央主要会議「両会」の会期中、同天安門事件記念日の前後、合わせて83日間勾留され、釈放後も自宅監視が続いていた。関係者によると、教授の特別手当も支給止めされているという。

米国営放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」によると、同社の電話取材で孫氏は、中国の広域経済圏構想「一帯一路」は「金ばら撒き外交」だと指摘していた最中に、公安警察が自宅に押し入った。VOAは、孫氏が相手と激しく口論する現場の音声を放送した。

孫氏の妻もともに連行されて音信不通のままとなっている。

 
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