【子育て】玩具のスライムに健康被害の危険性 消費者団体が警告

イギリスの消費者団体Which?は、玩具のスライムについて、使用されている「ホウ素」の量が一定基準を越え、健康被害の危険性がある商品について警告しています。

消費者団体が市場に出回っている商品11点のホウ素量をテストしたところ、そのうち8点が欧州連合(EU)の安全基準である300mg/kgを越えていました。

欧州の消費者安全科学委員会(SCCS)によると、ホウ素は自然環境の中に存在します。果物、豆類、コーヒーやワインなど植物性食品に含まれており、食品から毎日約2ミリグラムのホウ素を摂取し、一生で約60グラム摂取するそうです。

またホウ素は薬品、化粧品、玩具類にも使用されています。脳腫瘍の治療にある種のホウ素の活用を試みている医療化学者もいるそうです。

しかしながら、ホウ素を過剰に接触したり、摂取すると、皮膚炎、吐き気や嘔吐、痙攣など中毒症状を引き起こす危険性があります。健康な肌からホウ素が体内に吸収されることはないそうですが、傷口からは入る可能性があります。

また動物実験の結果から、妊娠中のホウ素の過剰摂取は、胎児に影響し、低体重、先天性異常や発達の遅れを起こす関連性も指摘されています。

さらにホウ素の過剰摂取は人体に害を及ぼす危険性があり、中でもホウ酸を口から摂取した場合、子どもなら2〜3グラム、大人なら15〜30グラムで死に至る危険性があります。

消費者団体の研究部長ニッキ・ストップフォード氏はこう話します。

「小さなお子さんをお持ちの方はご存知だと思いますが、スライムは子どもたちに人気があり、害があるとは思わず購入した親御さんも多いと思います。しかし、実はスライムで子どもが健康被害を被る可能性があることを知って頂きたいのです。

また商品の安全規格の根本的な改変が必要だと思います。製造側は安全でない商品は作るべきでないし、政府や小売商側は危険性があると判断された商品は売ってはならないし、回収すべきだと思います」

Whichのテストで過剰量のホウ素が検出された商品 (Screenshot via www.which.co.uk)

Whichのテストで欧州安全規格(300mg/kg)以上のホウ素が検出された商品は次の8点です。

  • Toy Smithのジュピタージュース(ピンク)Jupiter Juice
  • CCINEEのフラッフィースライム Fluffy Slime (pink)
  • Cosoro Dodoluのクリスタルスライムマジッククレイ(ピンク)Crystal Slime Magic Clay
  • Baker Rossのミニバケットパティ(緑)Mini Bucket Putty
  • iBase Toyのスライムトーイ(紫)Slime Toy
  • LOYOのフラッフィースライム(青)Fluffy Slime
  • Brezehのフリースライムトーイ(オレンジ)Free Slime Toy
  • Virtuotradeのマイフラッフィースライム(緑)My Fluffy Slime

これらの商品はアマゾンで売られていましたが、Whichのテスト結果を受け、アマゾンでの販売は中止したそうです。

また安全規格内だった商品は次の3点です。

  • The Worksのグーピースライム(緑)Goopy Slime
  • Smyth’s Toyのグラムグーデラックスパック(透明)Glam Goo Deluxe Pack
  • アマゾンのハルクグリーンハロウィーンスライムHulk Green Halloween Slime

今回テストした中で、商品が欧州連合の安全基準を満たしていると示すCEマークを謳いながら、基準以上のホウ素が検出された商品もあったそうです。数ある商品の中からどれが安全かを見極めるのは難しいと前提したうえで、メジャーな玩具小売店2社が出す商品はどちらも安全基準内であったと消費者団体は伝えています。

同時に、スライムを家庭で作る際も注意を呼び掛けています。ホウ酸を含んだものとしてコンタクトレンズ洗浄液などが挙げられますが、その作り方に容量が記載されていない場合が多いので、その容量に注意してほしいとのことです。

 

 
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