米中が追加関税の応酬、貿易摩擦長期化に懸念も

[北京/ワシントン 6日 ロイター] – 米国と中国が6日、340億ドル相当の輸入品に対する関税を互いに発動した。中国は「最大規模の貿易戦争を引き起こした」として米国を非難。緊張緩和に向けた交渉が行われる兆候はなく、対立の長期化を予想する声も出ている。

トランプ米大統領は5日、中国製品に対する関税の対象を今後も広げることで最終的には5000億ドル余りに相当する中国製品が標的になる可能性を警告した。昨年、米国が中国から輸入した総額にほぼ相当する。

米通商代表部(USTR)が措置の見直しを行い、新たな関税を発動するまで数週間から数カ月かかる見通しだ。

米国の対中関税は、6日0401GMT(日本時間午後1時01分)に発効した。中国商務省はその直後に声明を発表し、直ちに対抗せざるを得ないと表明。自動車・農産品など340億ドル相当の米製品に25%の関税を課すことを示唆した。

ただ、中国政府が米国に対する報復関税を導入したと公式に確認するまで3時間余りが経過したため、市場では一部、混乱もみられた。

中国外務省のスポークスマンは、6日午後に行った定例記者会見の場で「米政府が中国への関税を不当に引き上げたことから、中国は即座に、一部の米国製品に対する関税引き上げを実施した」と説明した。

李克強首相は記者会見で、「貿易戦争は解決策ではない」と指摘。「中国が貿易戦争を始めることは決してないが、いずれかの政権が関税の引き上げを手段として用いるなら、中国は利益を守るために対応措置を取る」とした。

中国商務省は米国の輸入関税を巡り、世界貿易機関(WTO)に不服申し立てを行った。

米経済諮問委員会(CEA)のハセット委員長は、フォックス・ビジネス・ネットワークのインタビューで、トランプ氏が「より良い(通商)協定をもたらすだろう」と予想。トランプ氏が当面、米国の企業や労働者を「基本的に悪用してきた他国に挑んでいる」との認識を示した。

米国の小売財輸入業者の間で、中国の関税見直しに伴うコストを消費者に転嫁する動きは現時点で目立っていない。

ただ、独自動車大手BMW<BMWG.DE>は、中国が導入した米製品に対する25%の関税措置の影響を完全に吸収することは不可能で、米国から中国に輸出する車両の価格を引き上げざるを得なくなるとの見解を示した。

USTRは、中国製品の関税適用除外を希望する企業に90日間の申請期間を設ける方針を明らかにした。

中国国営メディアは、トランプ政権を「小悪党集団」と呼び、その貿易政策を批判した。

中国人民銀行(中央銀行)の馬駿金融政策委員は、米国が500億ドル相当の中国製品に追加関税を課した場合、中国の成長率が0.2%ポイント低下するとの見通しを示した。国営新華社通信が報じた。

米税関・国境警備局が25%の追加関税を課す中国からの輸入品には自動車やディスクドライブ、工業部品の多くが含まれる。

中国の報復関税は米国産大豆やソルガムなど数多くの品目が対象となる見通し。トランプ大統領の票田であるテキサスやアイオワといった農業州が打撃を受けるとみられる。

 
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