米大統領、金正恩氏の米国招請を示唆 拉致問題言及を確約

[ワシントン 7日 ロイター] – トランプ米大統領は7日、安倍晋三首相との会談後の共同記者会見で、来週の米朝首脳会談が成功裏に終われば、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長をワシントンのホワイトハウスに招待する可能性があることを明らかにした。

またトランプ大統領は安倍首相に対し、12日の金委員長との会談で拉致問題を取り上げることを確約。「安倍首相はこの件について長い時間をかけ、情熱的に語った。私は安倍首相のこうした願望を受け、北朝鮮とこの件について必ず協議する」と述べた。

トランプ大統領はこのほか、米朝首脳会談で朝鮮戦争を終結させるための合意文書を締結する可能性があるとも発言。「われわれが合意文書にサインする可能性はある」とした上で「これが第一歩になることは周知の通りで、おそらく容易な部分と言える。その先に困難な部分が待ち構えている」と語った。

トランプ大統領は米朝がいつか国交を正常化できることを望んでいるとも述べた。ただ、首脳会談がうまく行かなかった場合は、北朝鮮に対する制裁措置を強化する可能性もあるとした。

トランプ氏は安倍首相のホワイトハウス到着後、北朝鮮による核放棄が重要だとし、「北朝鮮が非核化を行わないことは容認できない」と記者団に発言。共同記者会見では「歩み去る用意は完全にできている」と述べた。

こうした強硬姿勢の一方で、金委員長をワシントンに招待する可能性があるとも言明。記者団の質問に対し、「彼は歓迎されるだろう。非常に好意的に受け止めると考えているため、実現する可能性はある」と述べた。

日米の通商関係については、改善に向け双方が協力していると述べ、安倍首相が新たな対米投資を約束したと明らかにした。

トランプ氏は、安倍首相から「軍用機やボーイング<BA.N>製の航空機、農産物を含め日本は数十億ドル規模のあらゆる米国製品」を新たに購入しているとの話があったとした上で、「多大な貿易不均衡の是正や貿易障壁の撤廃、公正かつ互恵的な経済関係の達成に向け、われわれは懸命に取り組んでいるところだ」と述べた。

さらに米国での新工場への投資を日本側に促したところ、安倍首相は「実現する」と応じたと説明。「われわれはミシガン、ペンシルバニア、オハイオの各州で新たな自動車工場が欲しい」と語った。

トランプ氏は、米国の対日貿易赤字の縮小には二国間協定の締結が望ましいと強調。「米国は公正かつ互恵の原則に基づく二国間協定の締結を求めていく」とした。日本政府は多国間協定が最善との立場を示している。

安倍首相はこの他、拉致問題を巡り北朝鮮と直接話し合いたいとの意向を示したほか、北朝鮮が非核化に向け行動するまで制裁を解除しないことで日米が一致していると話した。

12日の米朝首脳会談では北朝鮮に対する米国の非核化要求が主要な議題となるが、北朝鮮はこれまで、核・ミサイル開発は米国に対する抑止力と主張し、一方的な非核化を拒んできた。米軍は韓国に2万8500人の部隊を配置している。

日米首脳の共同会見後、ポンペオ米国務長官はホワイトハウスでのブリーフィングで米朝首脳会談について、トランプ大統領は「朝鮮半島の完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」といえない合意は拒否すると述べ、会談に向けた米国側の姿勢をあらためて強調。「大統領は期待を抱いている。しかし、同時に油断なく会談に臨む」とした。

その上で、北朝鮮が非核化に応じれば、米国は北朝鮮の安全を保証するために取り組むとし、トランプ大統領は「大量破壊兵器を持たない北朝鮮は安全な北朝鮮でもあると確約する用意がある」と述べた。

ポンペオ長官は米朝首脳会談後に日韓政府の当局者と会談するほか、中国も訪問し、北朝鮮を巡る今後の対応を協議する。

平壌で2度にわたり金委員長と会談しているポンペオ長官は、北朝鮮の将来を変えるために「大胆な」措置をとる用意が委員長にはあるとの見方を示し、「金氏は私に対して個人的に、非核化の用意があることを示唆した」と発言。「現在のモデルが機能しないと理解しており、非核化の用意があることを示唆した。これまでの方法が通用せず、大きく大胆な措置が必要であること、大きな変革で合意する必要があると理解していることを示唆した」と述べた。

*内容を追加しました。

 
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