日産とDeNAが実証実験、「技術革新の先」の移動サービス開拓

[横浜市 23日 ロイター] – 日産自動車<7201.T>とディー・エヌ・エー(DeNA)<2432.T>が3月にドライバー不要の自動運転車による移動サービス「Easy Ride(イージーライド)」の実証実験を横浜市内で行う。2020年代早期に日本で同サービスを展開することを目指しており、実験で最適な形態の検証や課題などを洗い出す。

実験は3月5日から18日まで行われ、ネットで募った一般のモニター約300組が参加する。自動運転車は旧型の電気自動車(EV)「リーフ」をベースに開発。遠隔管制システムで車の位置や速度、バッテリー残量などを管理して安全を確保するが、今回の実験では万が一に備えてドライバーが同乗する。

イージーライドは単に配車するだけでなく、目的と移動を結びつけたサービス。ユーザーはスマートフォンの専用アプリを起動すると、「何をしたいか」をまず画面で尋ねられる。例えば「おいしい朝食を食べたい」と声で目的を入力すると、候補となる飲食店が複数表示され、目的地、乗降地、乗車日時を選択して車の予約を確定する。指定した配車時刻に車が到着し、ユーザーがアプリでドアロックを解除。後部座席に乗り込むと、車が自動運転で目的地まで連れて行ってくれる。

23日会見した日産の西川廣人社長は「魅力ある車の提供」という本業に加え、車の電動化・知能化という「技術革新の先にある新しいモビリティーサービスの提供」という事業進化につなげると指摘。DeNAの守安功社長は高齢化に伴う移動困難者の増加や運輸業界が抱える人手不足などさまざまな社会課題を「インターネットやAI(人工知能)の力を活用して解決したい」と語った。

場所は横浜市のみなとみらい地区周辺で全長約4.5キロメートルのルートと4つの乗降地に限るが、モニターはアプリで車を呼び出し、目的地まで移動するサービスを体験してもらう。

走行中、車内のタッチパネルには目的地周辺のお店で実際に使えるクーポンなども表示される。紹介する提携店舗には「運賃の一部を負担していただくことも検討する」(DeNAの中島宏執行役員)という。

日産、仏ルノー<RENA.PA>、三菱自動車<7211.T>3社のアライアンス専務執行役員で、コネクテッドカーと移動サービスの責任者を務めるオギ・レドジク氏は、イージーライドで得られる技術は「3社全ての能力向上に役立つことを期待する」と述べた。また、海外でのサービス展開では「それぞれの市場での現地パートナーがいるだろう」と話した。

(白木真紀、田実直美)

 
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