成長戦略、目標達成に向けた進捗案件は半数以下 先端分野に遅れ

[東京 1日 ロイター] – 政府は1日、未来投資会議(第13回)を開催し、成長戦略実現に向けて2017年2月に策定した「実行計画」がどの程度進捗しているかについて、報告を行った。

134項目のうち、目標に向けて進捗している分野は60項目と半数以下だった。遅れが目立つのは、農業改革やサービス産業生産性向上、自動運転やロボット生産規模、教育現場のIT化など先端分野。技術力や大学の世界ランキングは停滞ないし後退している。

進捗していると評価されたAランクでは、健康・医療分野で、健康寿命の延伸やメタボ人口減少など国民の健康改善の取り組みのほか、電子カルテル普及や医療品の審査期間短縮などがある。観光立国分野では、訪日外国人数やリピーター数、免税店拡大など。設備投資関連では、18年度までに年間80兆円との目標を16年度で達成した。

他方で、目標に向けて進捗していないBランクとされたものは54項目。今回評価ができなかったものは20項目だった。

Bランクで目立つのは先端技術の活用分野だ。ロボットの国内生産市場規模は、20年までに製造業、非製造業分野でいずれも1.2兆円を目標としているのに対し、足元ではどちらも大きく下回る。自動車安全運転を支援するいわゆる自動ブレーキ搭載比率も、目標の20%に対し16年時点では10%以下となっている。

人材育成におけるIT化もかなり遅れている。20年までに全教員が授業にITを活用できることを目指すが、16年度で75%止まり。無線LANのすべての教室への整備は、16年度時点で3割に過ぎない。

大学ランキングも10校以上のトップ100入りを目指すが、6校にとどまっている。

また世界順位1位を目指すイノベーション(技術力)でも、ランキングはこの5年間で5位から8位に後退している。

政府はきょうの会議で、昨年6月の「未来投資戦略2017」と12月に決めた「新経済政策パッケージ」を踏まえた18年版の「実行計画」を報告し、2月上旬の閣議決定を目指す。

具体的な計画としては、IOT投資に積極的に取り組む企業の法人税負担を20%まで引き下げる減税措置や、中小企業の設備投資に対する固定資産税の減免、新たなビジネスモデルを規制の適用外で実証できるサンドボックス制度の創設、電波の有効活用、第5世代移動通信システムの実現と活用、介護のロボット・センサーの活用など。

(中川泉 編集:田中志保)

 
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