五行の相生相克理論による治療―夫婦喧嘩は泣くまでやるべし?

今「韓流」ともてはやされ、韓国映画やドラマが大人気だ。ところでその中で、葬式の場面をご覧になったことがあるだろうか。遺族が葬式の際、号泣するのである。

これは中国や朝鮮に伝わる習慣だという。場合によっては、「泣き女」と呼ばれるプロすら雇うことさえある。この由来や理由については諸説あるが、これを漢方の観点から読み解いてみよう。

生老病死、これは誰もが避けて通れない。だが最後の最後、心から納得してこの世を去る人がどれほどいるのだろうか。ましてや残された遺族の無念は想像に難くない。時にはその無念さは怒りへと変わる。けれど怒り心頭であっても、明日からまた生きて行かねばならないのだ。ならばどうするか。一介の庶民は、どのようにして怒りを発散すれば良いのか。

こんな仮説を立ててみよう。この親族の死に対する怒りをおさめる方法として取られたのが「号泣」という手段だった。思う存分泣き腫らすことで、心中の怒りを解決する。これが庶民にとっての智恵だったのかもしれない。これはあくまで仮説だが、驚くことなかれ。これこそ、漢方の「五行の相生相克」理論と見事なまでに合致するのだ。

まずは五行だ。五行の理論によれば、万物はみな五行から成る。我々の体も例外ではない。例えば、

五臓
心(しん)
五行

これらの五行が相生相克、すなわち互いに生み出し合い、互いに制し合う関係にある。

木(肝)は火(心)を生む:木を燃やすと火が生まれるから
火(心)は土(脾)を生む:火からは灰が生まれるから(灰は土に返る)
土(脾)は金(肺)を生む:土から金が掘り出されるから
金(肺)は水(腎)を生む:金を熱し溶かすと水が生まれるから

水(腎)は木(肝)を生む
木(肝)は土(脾)を制す
土(脾)は水(腎)を制す
水(腎)は火(心)を制す
火(心)は金(肺)を制す
金(肺)は木(肝)を制す

昨今よく耳にする「体の健康は心の健康から」「ストレスは万病の元」など。だが、漢方では数千年も前に心と体の健康の関係に気づいていた。しかもその理論も、実に細やかで複雑だ。医学としての完成度の高さに思わず舌を巻いてしまう。

不思議で奥深い漢方の世界をたどる番組、ぜひご覧ください。

 
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